電気機器
株式会社バッファロー様
カスタマーサポートのマルチチャネル化で 呼量を大幅削減 確かなVOC分析で製品・サービス改善も支援
課題・背景
- 電話によるお問い合わせを削減し、ノンボイス化を推進したい
- お客様のお困りごとを速やかに解決し、利便性を高めたい
実施内容・導入の効果
- LINEチャットやXなど、マルチチャネルで問い合わせ窓口を拡充
- VOCを分析し、サポートサービスや製品改善に活用
概要
Wi-FiルーターやNAS、外付けHDD・SSDなどのデジタル機器および関連サービスの開発・販売を手掛ける株式会社バッファロー様(以下、バッファロー様)。「安心して使えるIT環境の提供」を使命に掲げ、家庭向けから法人向けまで幅広いお客様に製品を提供しています。
同社では、2016年からコンタクトセンターの運営をNTTデータ・マーケティングアクトに委託し、段階的にお問い合わせ窓口のマルチチャネル化を進めてきました。現在は電話、メールの他、LINEチャットによるカスタマーサポート、Xを活用したアクティブサポートなどにより、ノンボイス化を促進しています。取り組みの背景や成果について、バッファローの皆様にお話を伺いました。


嶋田 豊秋 様(写真中央)
株式会社バッファロー 品質保証部 CS課長
八釼 麻里 様(写真左から2番目)
株式会社バッファロー 品質保証部 CS課
平塚 茂幸 様(写真左から1番目)
株式会社バッファロー 品質保証部 CS課
藤原 俊哉(写真右から1番目)
株式会社NTTデータ・マーケティングアクト 松山センター ジョブマネージャー
鵜森 洋旭(写真右から2番目)
株式会社NTTデータ・マーケティングアクト 松山センター スーパーバイザー
※部署名・役職は取材当時(2026年8月)のものです
電話中心のサポートから脱却し
お客様のコンタクトチャネルを増やしたい
カスタマーサポートを通して、お客様の利便性向上に努めてきたバッファロー様。コストパフォーマンスを高め、サポート体制をより拡充するため、2016年からはNTTデータ・マーケティングアクトと共にコンタクトセンターの運営管理を行っています。当初は電話とメールでお問い合わせを受けていましたが、応答率を高めるためにマルチチャネル化、ノンボイス化を検討。その背景にあるのは、「お客様が困っている状態を、いち早く解決したい」という思いでした。
お問い合わせをされるお客様は、何らかのお困りごとを抱えている状態です。こうした問題をできるだけ早く解決するには、さまざまなコンタクトチャネルを提供する必要があります。そのため、弊社ではYouTubeでのFAQ動画配信など、新しいソリューションを積極的に取り入れてきました。
LINEチャットも、その一環として早期から導入を検討していました。LINEは、お客様が使い慣れたツールですし、Wi-Fiがつながらない状況でもスマホから「友だち追加」をしていただければすぐに利用できます。また、問い合わせ履歴が残り、画像や動画を送っていただけるという点でも、サポートとの相性が良いツールです。そこで、NTTデータ・マーケティングアクトに相談し、LINEチャットの導入を進めていきました。


LINEチャットで複数のお問い合わせに同時対応
電話の応答率向上にも貢献
LINEチャットの導入にあたり、コンタクトセンターに専任のオペレーターを配置。電話とLINEチャット、それぞれの特性を活かしながら応答率向上を目指しました。
電話の場合、1件のお問い合わせにつき平均20分程度で対応していました。一方、LINEチャットでは1件あたり40~50分かかることもありますが、1人のオペレーターが最大6件同時に対応できるのが特徴です。例えば、お客様Aに「ランプの状態を確認してください」とお願いし、その回答を待つ間に、お客様Bに「次はこちらをお試しください」とご提案したり、お客様Cから届いた情報を確認したりすることができます。
お客様にとっては待ち時間なくお問い合わせができ、バッファロー様にとってはコストパフォーマンスの面でもメリットがあります。また、お客様がLINEチャットに移行することで、電話の混雑緩和にもつながると考えました。
LINEチャットで得たお客様の声は、製品・サービスの改善に役立つ宝物です。お客様とオペレーターの負担を増やすことなく、いかにデータを収集し、改善につなげるか。そのための応対テンプレートも整備しました。
どのような質問を投げかければ、応対品質が向上し、かつバッファロー様の製品・サービス改善につながる回答を得られるのか。質問に具体例を加えたり、回答例を示したりすることで、必要な情報を確実に得られるテンプレートを構築していきました。その結果、最大6件の同時対応を実現しながら、改善に活用できるデータも蓄積できるようになっています。
LINEチャットによるカスタマーサポートは、FAQの改善や検索性の向上にも役立っています。電話の場合、オペレーターがお問い合わせ内容を要約して記録するため、お客様が実際にどのような言葉で問い合わせているのかまでは、わかりにくいこともあります。一方、LINEチャットでは、お客様が入力した言葉そのものがログとして残るため、FAQを作成する際に「お客様がどのようなキーワードで検索するのか」を考える上で、とても参考になります。
例えば、Wi-Fiルーターの状態を示すランプについて。マニュアルには正式な名称が記載されていますが、お客様は「上から2番目のランプが点滅している」と表現することがあります。こうした分析により、お客様の視点に立ったFAQを用意でき、お問い合わせいただかなくても自己解決できる可能性も高まりました。


LINEチャットによるカスタマーサポートを周知し、利用率57%に
LINEチャットの導入当初、利用率は数%にとどまっていました。そこで、対応時間の拡大やSNSを活用した周知など、さまざまな施策に取り組みました。
お客様の利便性を高めるため、LINEチャットの対応時間を拡大しました。電話の受付時間は、月~土・祝日の場合、9時30分から18時までですが、LINEチャットは21時まで対応しています。問い合わせが増える時間帯にも対応できるよう、夜間専任のスタッフを配置するなど、現場の体制についてもNTTデータ・マーケティングアクトに相談しながら改善してきました。
また、電話でのお問い合わせ窓口が混雑している際には、LINEチャットをご案内することで、待ち時間が減り、電話もつながりやすくなりました。Xでもアクティブサポートを行っているため、当社製品についてお困りごとを投稿している方にLINEチャットの窓口を案内するなど、複数のチャネルを組み合わせながら認知を広げていきました。
応答品質の向上にも、力を入れました。電話によるお問い合わせでは、お客様の話し方に合わせてオペレーターが応対を変えています。例えば、簡潔な話し方をされるお客様には、クッション言葉を多く使わず端的に話すといった対応です。LINEチャットでも、お客様の文体から性格タイプを分析。句点のない短文を何通にも分けて送ってこられる方には、プロセス抜きで結論を早く提示するなど、回答スタイルを最適化する施策を行いました。
その結果、2017年には6%だったLINEチャット利用率が、2025年には57%に達し、電話よりもLINEチャットからお問い合わせいただくケースが多くなりました。
お客様の声を開発部門へフィードバックし、製品改善にも活用
LINEチャットなどを通じて蓄積したVOCは、お問い合わせ対応だけでなく、製品・サービスの改善にも活用されています。VOC分析からお問い合わせ内容を可視化し、ファームウェアの改修を実現したケースもあります。
お問い合わせの対話ログは、製品の型番などの情報とひも付けて構造化し、データベースに蓄積しています。そのため、特定の製品についてお問い合わせが増えている場合、さまざまな切り口から「なぜ増えているのか」を分析できます。
ある製品について問い合わせが急増し、返品・返金が懸念された際には、VOC分析から特定の機能が動作不安定を招いていることを突き止め、バッファロー様に情報を共有したこともあります。その後、製品のファームウェアが改修され、問い合わせ件数の減少にもつながりました。
お問い合わせの増加は、最初の段階では母数が小さいため、私たちだけではなかなか察知できません。NTTデータ・マーケティングアクトに見える化してもらったことで、「これはおかしいのではないか」と早い段階で気づくことができました。その情報をもとに開発部門へ確認したところ、実際に製品側に問題があることがわかり、ファームウェアの改修につながったのです。
当社では、Wi-Fiルーターの設定を簡単にできるアプリを提供しており、その利用を推奨しています。ただ、実際に利用されているお客様がどう感じているのか、どこでつまずいているのかを、私たちが直接知ることができる機会は多くはありません。その点、コンタクトセンターから「アプリのこの表記では伝わりにくいのではないか」「ここを間違えて押してしまうのではないか」といった声をフィードバックしてもらえるのは、大きなメリットです。私たちが気づいていなかったお客様の声を開発部門に伝え、製品・サービスの改善につなげることができ、とても助かっています。


活発な意見交換が、製品・サービスの品質向上に結びつく
両社の協力体制を支えるのは、日々のコミュニケーションです。
コンタクトセンターの立ち上げ当初は、応答率が伸び悩み、核心を突いたVOC分析ができなかった時期もありました。こうした中、お互いに意見交換し、折衝する機会を多くいただいたことが、現在の成果につながっているのではないかと思います。
これからの時代は、挑戦を失敗で終わらせず、学習や成長につなげていくサイクルをつくることが重要だと思っています。バッファロー様との取り組みでは挑戦する機会が多く、私も「下請けとして仕事をする」という感覚ではなく、楽しみながら一緒にプロジェクトに参加させていただいております。
日ごろから「ちょっとしたアイデアについてお話ししたいのですが」と、気軽にご相談できる間柄で、「こんなことを言ったら怒られるだろうか」と萎縮することもありません。そうやって密にコミュニケーションを取れているからこそ、製品・サービスの改善にまで踏み込んでお話できるのだと思います。


NTTデータ・マーケティングアクトは、私たちの業務に伴走しながら改善策を提示してくれます。ある時、特定の製品に関するお問い合わせが増えたため、「この製品について集中的に調べてほしい」とお願いしたことがありました。コンタクトセンターにとっては難しい要望でしたが、われわれとしてはお客様が困っている状態をそのままにしておくわけにはいかず、無理を承知で調査をお願いしました。
その結果をご報告いただいた際、こちらからお礼の手紙をお送りしたところ、「頑張った甲斐がありました」と、コンタクトセンターの方々から逆にメッセージをいただいたことがありました。私たちの思いを真摯に伝えれば、きちんと受け止めて対応していただける。そんなパートナーだと実感したエピソードです。
私達にとって、コンタクトセンターの皆さんは大切なパートナーです。コロナ禍前は、毎年1回コンタクトセンターに伺い、オペレーターの皆さんに賞状をお渡しして表彰する機会を設けていましたし、一緒にお酒を飲んだこともありました。こうして密な関係を築くことでお互いに親近感が湧き、結果的に仕事の進めやすさにもつながっています。
定例会議も毎週実施し、細かなリクエストにも柔軟に対応いただけるので助かっています。2026年には、CRMの刷新にも取り組みましたが、どのような項目や機能が必要なのか、準備段階からコンタクトセンターの皆さんの意見を伺い、現場視点のアドバイスをいただきました。その結果、システム移管、オペレーターのトレーニング、現場への定着と、大きな山を共に乗り越えることができました。
バッファローの「顔」となり、お客様ファーストのサポートを提供
NTTデータ・マーケティングアクトと共に、さまざまな施策に取り組んだ感想を伺いました。
コロナ禍には、巣ごもり需要によってWi-Fiルーターなどの機器を導入するお客様が増え、電話でのお問い合わせがピークを迎えました。ですが、現在は当時の3分の1程度まで呼量が減少しています。
コンタクトセンターにとって、電話でのお問い合わせを減らすことは、売り上げを減らすことにもつながりかねません。それでもNTTデータ・マーケティングアクトは、呼量削減に向けた分析や改善に率先して取り組み、お客様の利便性をさらに向上するための施策にリソースを割いてくれました。「お客様のお困りごとをなくしたい」という共通の思いに向けて取り組みを進められたことが、最も大きな成果だと感じています。
私が感じるNTTデータ・マーケティングアクトの魅力は、業務に対する熱心さです。コンタクトセンターの皆さんは、私達以上にバッファロー製品に関する知識をお持ちです。新しい製品が出れば、その仕様や使い方について熱心に勉強する。バッファローの「顔」となり、お客様対応に当たってくれているのだと感じ、信頼が深まりました。
ノンボイス化とAI活用を推進し、お客様の自己解決を促したい
今後、バッファロー様ではノンボイス化とAI活用をさらに進めていく考えです。
今後もノンボイス化は、主要な改善策として進めていきたいと考えています。来期以降は、AIのさらなる導入も検討しています。AIボイスボットの導入も選択肢の一つですし、LINEチャットについてもAIを活用していけたらと考えています。
一方で、引き続き電話でのご対応を求めるお客様も一定数いらっしゃいます。こうしたお客様に対して、どのようなサポートを提供するのが最適なのか、引き続き検討していきたいと思います。
私たちの強みは、コンタクトセンターの運営を通じて蓄積したドメイン知識です。バッファロー様の製品・サービスに関する専門知識を活かし、さまざまなAI活用を包括的にご提案しながら、これからもバッファロー様と一緒に新しいカスタマーサポートの形をつくっていきたいと考えています。


お客様情報
![]() |
株式会社バッファロー様 2025年に創業50周年を迎えたバッファロー様は、経営コンセプトに「Original Value Creation(オリジナルな『価値』の創造)」を掲げ、PC周辺機器のトップメーカーとして多くの製品を開発しています。年間販売数No.1メーカーを称える「BCN AWARD 2026」では、Wi-Fiルーター部門、HDD外付部門など15部門でトップシェアを獲得しました。一般家庭向け製品に限らず、法人向けにも幅広い製品を展開し、教育・医療・災害などの現場で活躍しています。 |
|---|